坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




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『 宛先:Rapier*****@so*t*ank.ne.jp
件名:澤北秋穂です。

坂城さんのメールアドレスをあやめさんから貰ったのですが、消した方が良いですか?

良くは分かりませんが、あやめさんから「メル友になってあげてね、坂城くん友達いないから(はぁと)」と来たのですが、あやめさんのことです。

坂城さんに許可無しで勝手にメールアドレスを私に送ったのではないでしょうか?

その、坂城さんとメル友になれたら、嬉しいですが……(/ω\)ヴー

嫌なら消しますのでメールください^^*

秋穂



「このメールあの秋穂からか!?」


文面が本人とマッチしないぞ……。


きちんとした敬語だし、下手に出た言い方も出来ている。顔文字はあるが、適度で好感がもてるし、改行もあって読みやすい。


唯一らしいと思うのは、『その、坂城さんとメル友になれたら、嬉しいですが……(/ω\)ヴー』という部分か。


……というか、俺とメル友になれたら嬉しい?


「あら、秋穂ちゃんってメールだと結構礼儀正しいわよ。ちゃんと考えて打てるからって言ってたわ」
「そうなのか……」


それは普段考えて話してないということなんだけどな。


雪白から、なんて返って来たの? と言われたので見せる。


「ふーん。それ見ると秋穂ちゃん坂城くんともっと話したいみたいだけど?」


「……メールって何話せば良いんだ」


俺はテレビもあまり見ないし、流行にも疎い。メールも用事だけで済ますことが多い。


そんな俺が中学生と何を話せば?


「あら、メル友になる気になった?」


にやにやと言う雪白に、不貞腐れて言う。


「……ならなきゃキスのこと言うんだろう」
「ええ。道はないってことよ」


その言葉で俺は秋穂とメル友になることを了承した。




『 宛先:hi*****0550@so*t*ank.ne.jp
件名:坂城正紀だ。

消さなくて良い。

何を話せば良いか分からないが、メル友にならなきゃいけないらしい。

だから、俺のメアドは消さないで良い。

坂城







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