18
「……笑うなら、笑え」
「笑わないわよ。秋穂ちゃんが可哀想じゃない」
「……――そうだな、秋穂が可哀想だ。好きでもない男にファーストキスを奪われてたのだからな」
――……秋穂はそう知ったら、泣くだろうか。
ファーストキスをこんな男に奪われて……。
「こんな男って、大丈夫よ。坂城くんイケメンじゃない」
「……秋穂に言うのか」
――……知ったら泣くかもしれない。それは、嫌だった。
「言っても良いのだけど、それだと楽しくないのよねえ……」
「だったら、言わないでくれ」
あの少女には笑顔が似合う。明るく笑っていて欲しい。顔を曇らせて欲しくはなかった。例え、もう会うことはないとしても。
すると、雪白は微笑んだ。
「っ?」
「良いわね、その顔。そういう顔好き。ひとつ条件があるわ」
「なんだ」
なにか条件があるとは分かっていたが……こいつのことだ。ひとつなんでも言うことを聞け、とかそういうことじゃ……
「秋穂ちゃんと
メル友になってみない?」
「は?」
今日何度目だろうか、話されたことを一度で理解出来ないということは。
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