坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




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「……笑うなら、笑え」
「笑わないわよ。秋穂ちゃんが可哀想じゃない」
「……――そうだな、秋穂が可哀想だ。好きでもない男にファーストキスを奪われてたのだからな」


――……秋穂はそう知ったら、泣くだろうか。


ファーストキスをこんな男に奪われて……。


「こんな男って、大丈夫よ。坂城くんイケメンじゃない」
「……秋穂に言うのか」



――……知ったら泣くかもしれない。それは、嫌だった。


「言っても良いのだけど、それだと楽しくないのよねえ……」
「だったら、言わないでくれ」


あの少女には笑顔が似合う。明るく笑っていて欲しい。顔を曇らせて欲しくはなかった。例え、もう会うことはないとしても。


すると、雪白は微笑んだ。


「っ?」
「良いわね、その顔。そういう顔好き。ひとつ条件があるわ」
「なんだ」


なにか条件があるとは分かっていたが……こいつのことだ。ひとつなんでも言うことを聞け、とかそういうことじゃ……




「秋穂ちゃんと
メル友になってみない?」





「は?」



今日何度目だろうか、話されたことを一度で理解出来ないということは。





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