15
秋穂達は「あ、電車!?」と慌てて帰った。
秋穂は「一流さん坂城さん、また!」と帰っていったがアイツとは二度と会わないだろう。
俺はまだ体が動かせない、ということで湿布を貼って貰い、(三浦先生の目が怪しかったのは気のせいだ、きっと)もう一眠りした頃には、外は夕焼けに染まっていた。
湿布を貼って貰って大分楽になったらしい。体を動かしても、激しい痛みは無くなった。
(これから家に帰って……ああ、誰かに今日の授業用ノート見せて貰わないといけないな……部活は二、三日様子を見て……今日は姉さんバイトだったか……)
とりとめの無いことを考えながら、身支度を整える。小田切はどうせもう授業に参加出来ねえだろ、と言ってクラスメイトに荷物を届けさせてくれた。わざわざ教室に戻るのも面倒だったのでありがたい。
三浦先生に挨拶しようと思ったのだが、もう帰ったらしい。早いな、と思いながら保健室を後にしようとした時だった。
トントン、と保健室のドアが二回控えめにノックされた。
誰だろう、と思っているとドアが開いた。
「ご機嫌いかが、坂城くん」
ひょこっと顔を出したのは……。
「雪白……」
―――……雪白あやめだった。
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