坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




  06





「坂城さんっ!」
「な、なんだ…」
「女性を大切に扱い、自分が出来ることをするのは男として当たり前ですよね!?」
「ま、まぁ……そうだな……」

 平野の熱い口調に蹴落とされ頷くと、平野はくるっと後ろを向き、朝義を非難する。


「ほら。あなたがおかしいんですよ、一流さん!」
「うっせーよ。バレンタインのお返しでそんなに熱くなるなよ……」
「三倍返しとまで言いませんよ? でも、"お返し? 藍だったらパックいちごで良いだろ"……その発言はどうかと思います!」


 な、なにを話しているんだ……?


 わけがわからず、成り行きを見守る。


「藍ならいちごで喜ぶし、それなりに高いパックいちご買ってやろうって思ってるんだぜ?」
「剥き身で、ですか!? それならそれを使ってお菓子作るとか工夫してあげたら良いじゃないですか!」
「そんな工夫いらねぇだろ。いちごはまんまが美味しい!って本人が力説してるんだし?」
「いくらそれでも! 槻川さんが可哀想じゃないですか……それで終わりだなんて。デリカシー無いどころか、女心もまったく分かってませんね」
「あ゛!? っんだとゴラァ!」
「図星ですか? いちいち大声で叫ばないでくれませんか。うるさい」
「お前な――!」


 ダンッ!


「「!?」」
「生徒会室で騒ぐな。もう下校だ。喧嘩なら他所でやれ!」


 机を思いっきり叩き、そう怒鳴った。そもそも、どうしてここで喧嘩する必要があるんだ――頭が痛い。こめかみを揉み、頭痛がしそうな頭を押さえた。


「何の話をしてるか知らないが、どっちも譲り合え…」
「――すみませんでした、坂城さん」


 平野は即座に謝るが、朝義は舌打ちして終わり。平野の方が大人だ。朝義は俺と言葉が通じない原人なので放っておく。


「実は、バレンタインのお返しについて話してたんですよ」
「あぁ――ホワイトディか」
「はい。一流さんがお返しにいちごを贈る、なんて言うから……」
「それは槻川が喜びそうだな」
「だろ!? ……ってお前に言われたくねぇよ!」


 ……めんどくさいやつめ。「はいはい」と適当に返事し、平野に「何か問題があるのか?」と聞く。



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