坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




  05




「つ、疲れた……」


 俺は生徒会室の机にうっぷして脱力した。今日は卒業式。それまで――……クソ忙しかった。一年で生徒会長なんてやるもんじゃない……。2,3年の先輩方に指示するのは気を揉む。かと言って同学年にばかり指示して動いて貰うのも……。


 俺は上にも下にも気を遣う中間管理職か……。


 そんなこんなで卒業式。無事問題もなく終わることが出来た。――……鮎川元生徒会長、礼宮先輩、藤野先輩がいなくなるのは寂しいが……これからは俺たちの学年がこの高校を盛り上げていかなければならない。そう思うと身が引き締まる思いだ。



 これから生徒会長として……問題児……雪白や朝義を相手にしなければいけないのか……。どうしたのか、目の前がかすむ……。


「弱音、ばかり吐いていられないな」


 ため息をつきそうになって深呼吸する。あの先輩方はもういない。生徒会長の俺がしっかりしなければどうする。


「さて……帰るか」


 西の空に陽は沈もうとしている。ほとんどの生徒が下校をし終わった。残っているのは俺ぐらいだろうと立ち上がった時――……。


 スパーン!と扉が勢いよく開かれ、驚いて固まる。一陣の風が生徒会室に吹き、一人の少年が「居ますか、坂城さん!」と生徒会室に雪崩れ込んでくる。


「平野っ?……と朝義?」
「ひらのーおちつけー……」



 一人の少年……平野奏は、俺と腐れ切った縁・朝義一流を連れていた。朝義はやる気なく平野を制止するような言葉をかける。大人しい(最近ではそのイメージが覆っているが)彼には珍しく、興奮し俺に詰め寄る。



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