坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




  08




そうして雪だるま作りが始まった。


秋穂が一番下を作って置いたのは、藤野先輩が製作している氷像の近く。


というか……


「すご!」「クマー!」
「ん? シロクマに見えるか?」


大体藤野先輩と同じくらいの氷像は、リアルなシロクマだった。雄々しく立ち上がっているシロクマの姿。細部まで細かく彫ってあり、九割方完成に近かった。今の今まで氷像を製作していたのは知っていたが、クォリティが凄すぎる。


だが……みんなが雪合戦(もうカオス)をしている中、一人黙々とこれを作り出した藤野先輩も不思議な人だ。飄々としてよく分からないとは思っていたが、ますますこの人のことがよく分からなくなった。


「き、器用ですね……」
「だろう。美術は5なんだ。お前らは何を作るんだ?」
「雪だるまです! 三段の!!」
「ほう。頑張れ」
「藤野さんのシロクマに負けないし! ちょび髭あったら負けるかもしれないけど!」


秋穂が元気よく返し、啖呵のようなものを切った。負けないって競争しているわけではないのに……。大体、ちょび髭があったら負けるって感覚おかしくないか?


「……!
ちょび、髭……良いな」
「ちょ、つけないで!?」


しかし、藤野先輩の頭に何か閃いたのかそんなことを呟いて黙々と作業に移っていった。


……この二人、何か通じるものがあるらしい。



prevnext
しおりを挟む




back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -