坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




  07





「雪だるま作りたい!」
「一人で作れ」
「坂城さんも作りましょうよー! こんなに雪があるんだから、雪だるま作るのが雪国の遊びですって! そんで、二人で作った雪だるまをドロップキックで壊しましょうぜ」
「作ったものを壊すのか! 作った意味がないではないか」
「作ったものを壊す――……これこそ芸術!!」
「そんなわけあるか!」


この馬鹿! と言うと「馬鹿で良いですしー」と笑って俺の手を引いた。


「おい!」
「ばかになって、あほになって、あーそびまっしょっ!」
「誰が……っ」


ね、と楽しそうに笑う秋穂を見て、黙り、いつの間か返事をしていた。


「しょうがないな……雪だるまでもなんでも作ってやる」
「おお! うち三段雪だるまが良い!」


頑張ろうー! 大声を出し始めた元気な秋穂を見て、複雑な気持ちになる。


なぜさっき少女に笑顔を向けられて文句を引っ込めたのか――……感情と気持ちの変化についていけない。


そして、笑顔を向けられただけで、こんなに温かい気持ちになるか、俺は自分のことなのに理解できなかった。



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