05
『この紋所が目に入らぬか!』
『目には入りませんぞカクサン』
『ご老公! その突っ込みは色々否定してしまいます』
『良いんじゃ……ワシはオギンの入浴シーンさえみればばばばばばばばdddddddry』
『こんのっ……エロジジイイイイ!!』
……水戸○門ってこんな話だったか。
現在、俺の家のリビングで秋穂と祐は半開きの口をしながらテレビを見ている。たまたまやっていた水戸○門の総集編だ。『水戸○門じゃん!』と言って見始めた秋穂のチョイスが渋い。だが、祐も大人しくぼーっとテレビを見続けている。
俺はそれを横目に数学の課題をしていた。ながら勉強は頭に入らないが、秋穂が祐の面倒を見てくれる。本当に秋穂を呼んで良かった、と感謝している。
「おねえちゃん!おねえちゃん!これ美味しそう!!」
「おぉ……ホットケーキじゃん」
CMに祐がきゃあきゃあと騒ぎ出した。それは、ホットケーキミックスのCMでそれはそれは美味しそうにホットケーキが映し出されていた。すると、祐は秋穂の服を引っ張ってムチャブリをし始めた。
「おねえちゃんこれつくって!」
「まあ……作れないこともないけど……」
「ホント!?」
秋穂は少し困ったような顔をして俺を見た。どうしよう、という意味だろう。秋穂が料理を上手かは知らないが、寮暮らしでよく作るとは知っていた。祐は今までおとなしく俺達と留守番していたわけだし……。
「ホットケーキミックスという洒落たものはないが、家であるものなら使って良いぞ」
「なら、作れます!
小麦粉と牛乳、卵、砂糖、ベーキングパウダーさえあれば!」
俺の申し出に即答し、秋穂の目が輝いた。こんなに自信を持ってる少女を初めて見る。
「ぼくもお手伝いする! ホットケーキ作る!!」
祐が嬉しそうにそう言い、俺はふっと笑みをこぼした。
「キッチン貸す。祐も手伝ってくれ」
「やったー!! 頑張る!!」
「腕の見せ所じゃー!」
三人でキッチンに立ち、ホットケーキ作りが始まった。
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