坂城くんと秋穂ちゃん | ナノ




  02



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――……真っ白い空間。


何もない。


空虚な四角形の部屋。


俺しかいない空間。


またか、と諦めまじりに思う。


ここで繰り返されること。


それを思い出して、夢だとわかっていても、胸のあたりがじくじく痛みだした。


真っ白い空間の真ん中で体育座りをして、一切の音を遮断するように耳を強くふさぐ。


こんなことをしても意味はない。夢なんだから、見てるのは俺でこれも夢の流れで……。


『うぜえよなあ、アイツ』


ほら、始まった。


一層強く耳をふさいだ。


これから始まるものを見たくない――……怖い。


『つーか、お前アイツといるんじゃねえの?』
『一緒にするなよ。俺だってウザいって思ってるっつーの』


うざい


うざいうざいうざい……


その言葉を皮切りに聞こえてくる俺に対しての悪口――……


【坂城ってうざいよねー】
【ていうか、なんであんなに頑張ってんの?】
【先生に気に入られたいからだろ】
【俺、先生も煙たがってるって聞いたことあるぜ】


――……ろ……め……


【つーかこれぐらいの校則違反ゆるせってーの。マジで良い子ちゃんだよな】
【うわぁ、良い子ぶりっこ?】
【自分が正しいって絶対思ってるよなあ】
【んなわけねーじゃん!】


――……やめ、ろ……ちがう……


『へーじゃあ、もう遊ばねえの?』
『アイツといると便利なんだよなー。良い子と一緒だと先生も大目に見てくれるんだぜ、ラッキー! 注意がうざくて付き合ってらんねえけど』


――……なんで? なんで? 友達って言ってた……


【本当】


――……やめ、……ぁ


【あいつって】


『……さ………………!』


は?


最後の言葉をさえぎるように誰かが俺を呼んでいる。


『さか……さん……』


この世界から引き戻すような、強い声。


その声で目が覚めた。


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