04

「ハニーは僕でしょぉ……?」


またそこへ、寝起きの可愛い花柄のパジャマ姿で起きてきた成原鈴之助――スズが口を挟んできた。その後ろには、キッチリと制服を着た早乙女春樹も居る。


「君、男のくせによくそんなこと言えるよ」
「うるさいなあ……だーりん……はるきゅん……」
「寝ぼけて間違えないでくれる? 君のダーリンはあそこで高坂に責められてるよ」
「はるきゅんがだーりんでいいや……ぎゃは…っ」
「ねえこの寝起きが超悪いドラ猫なんとかして。ていうか、僕にくっついて寝ようとし!?」
「ぐー」
「寝るな!!」


スズは一緒に席についた途端、まだ眠かったのか、そしてこれもいやがらせなのか、早乙女に寄りかかり寝始めた。
早乙女はカリカリしながら「田村、引き取ってよ」と早めにご飯を食べ終わった沙弥にお願いする。


「ソファに寝かせておけばいいか?」
「スズ、遅刻するから起きろ」


沙弥が親切心から言うと、小虎はチャンス!とばかりに千百合との会話を打ち切りスズの肩をゆする。


「うう……ことらがちゅーしてくれたらおきるー……」
「てめえ!起きてるだろ!!」
「はにーはぼくぅ……」


スズはとっくに起きているのに、千百合に便乗して駄々をこねて笑う。楽しそうな予感がしたからだろう。現に千百合はスズをじっと睨んできている。


「スズくん……それ、どういう意味?」
「そのままだよぉ……?」


食卓で散る火花に、小虎は自分の危機を感じ「俺、自分の準備してくる!」とついに逃げた。


「くすくす……逃げても無駄なのに」
「これから学校行くしな」


沙弥は小虎を不憫に思いながら、席を立つ。それを真也が呼び止める。


「あ、田村さん!一緒に学校…!」
「待ってるからゆっくり食えよ」
「……うん!ありがとう!」


真也は今日も沙弥と一緒に学校に行ける!と幸せな気持ちでごはんをかっこんだ。


「はあ……ご飯がまずくなるから、朝からやめてくれる?」


早乙女は自分でご飯をよそいついでにスズの分も持ってきて文句を言う。


「魔王、ノリ悪いよぉ」
「君に構ってる暇なんてない。早く支度終えて学校行って僕に関わらないで」
「そういわれると俄然と攻めるのに燃える! ……ありがとうね、ごはん?」
「…減らず口叩いてないで、早く食べたら?」

「「いただきます」」

「……わざとでしょ」
「ぎゃはっ!ハッピーアイスクリーム!」
「は!?おごらないからね?!」


今日も今日とて、スズはスズで、楽しく生きていた。




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