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ランニングから帰ってきた田村沙弥はすぐに軽くシャワーを浴びて髪を拭きながら、朝ごはんの良い匂いが香るリビングに急いだ。
朝一番の運動後、この匂いでぐぅ…とお腹が鳴った。

「おはよ、山月」
「はよ、田村」


リビングに入るとすぐに白い割烹着をつけた小虎が台所に立って、味噌汁を作っていた。
沙弥に挨拶しながら、味噌汁の味見をし「うし、このくらいだな」と良い塩梅に出来たのか納得するように言う。


「……惚れ惚れするほど似合うわ、割烹着姿」
「そうか? 実家から持ってきて正解だったかもなー」
「愛用かよ!!」
「誕生日にショウにプレゼントされたんだよ、中学の時。『これでうまいメシ作ってー』って……」
「お前ら幼馴染じゃなくて夫婦なの!? ねえ!」
「もったいないからつけてるだけだって……オカンといわれる確率が上がったけどな」


沙弥には、割烹着を手渡したショウが小虎にプロポーズしているようにしか聞こえなかった。小虎はいやそうな顔をしながら否定し、沙弥の茶碗にご飯をよそう。


「その家事スキルと気遣いがあるからだろ……ご飯、ありがと」


沙弥が突っ込んでいる間に、彼女の前には小虎が作った朝ごはんが自然と並んでいた。
白米、お浸し、焼き魚、味噌汁……食卓には他、海苔やふりかけ、調味料がならんでいる。
彼女は、毎日これだけの手抜きではない朝ごはんを作る彼を尊敬した。




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