「な、直さん……だらしないところを見せてしまってすまない!アイツの汚い半裸も見せてしまって申し訳ない!!」
新見は頭が起きた瞬間目の前に直人が居ることに驚いて絶叫し騒いだ。新見は直人に出て行ってもらい、すぐに支度したあと直人から事情を聞き、勘違いを――新見は千年は幼馴染で市来優哉と言うと紹介し、昨晩はただ一緒に寝ていただけと――解いて、土下座せんばかりに謝った。
「い、いや……寝起きで突撃したのはこっちだし……ごめんね、勘違いして…」
「まったくだ」
「お前も勘違いして銃向けてただろ」
「……ぶっ放せばよかったのに」
「新って意外と口悪いよね!?」
サクッと、死ねばよかったのに、と発言する新見に直人は「アイツと仲悪いの?」と聞く。
「アイツは万死に値する。直さんに露出狂のように半裸を見せ、チビと罵った……その罪は重い」
「いや、気にしてないって!……でも、一緒に寝るのは感心しない」
直人のしかめっ面に新見はきょとんとした。
「え?別に何も気にしないが?」
「いやいや!!きょとんとしないで!気にして!幼馴染とはいえ男と…」
直人は新見に「男は狼!」と教えようとしたが、横からさえぎられる。
「ソイツに欲情したら男として終わりだァ」
「なんだと貴様ぁ!?」
「チビ、貧乳、お子様の三拍子に魅力なんて感じねェって言ってンだァ」
風呂から上がった市来が早々、新見に暴言を吐く。直人は笑いながらも、ぴくぴくと頬を引きつらせる。
(コイツ……あたしに喧嘩売ってんのかな?ねえ?)
新見に当てはまれば直人にも当てはまる。似た二人の運命である。
「一理あるな……」
「頷くな、アル!!」
味方だと思っていたアルベルトが男として市来の意見に頷いた。
「先生ェ、だよなァ」
「そういう趣味嗜好も分かるけどな」
いつの間に馬を合わせたのか、二人は好みのタイプを言い合う。すべて新見と直人とは正反対の女性像だった。新見はぶるぶると震え、怒りを爆発させた。
「お前ら……直さんとケーキ置いて出てけー!!」
新見は、ポーン、と市来とアルベルトを追い出し、はあはあと肩で息をし、呼吸を落ち着かせる。
「あ、あたしはいいんだ…」
直人は茫然としながら、あはは、と笑った。新見は恥ずかしそうに俯き「な、直さん……お茶淹れるから…ケーキ食べたい」と提案した。
「そうだね。男どもの悪口でも言い合おう。女子会だ女子会」
――そういえば新と二人っきりって初めてだなあ、と直人は思い何の話をしようかと胸を躍らせた。