15
「ホント…ベン……りだ……よな……っ!」
「……っ」
気を失っていた南西が立ち上がったのだ。……愛子が落とした釘バットを持って「おおおおおおおお―――!!!!」と姉妹に襲い掛かる。
――咄嗟だった。本能的に身体が動いてくれて助かった。
「……しず……あい…だいじょ、ぶ……か?」
耳のすぐ傍で、ドゴォ、と頭が割れるような音がした。抱き合う姉妹を守るように抱きしめた。釘バットは俺の頭を直撃。痛いってもんじゃない。あまりの痛さに、目がかすんだ。
「あ……ぁ……すーく……ち…が…」
愛子がガタガタと震え、泣き始める。泣くなよ。助かったんだから。
ドサッと、地面に落ちる音がする。バカが力尽きたらしい。すげえ精神力。
「――――」
静子は不思議そうに俺を見ていた。状況が上手く理解出来てないのかもしれない。
「すーちゃん……?」
「しず……あのさぁ……マジあいし……」
もう死ぬって思って静子に愛の告白をしようと思ったけど、それも叶わない。
腕から力が抜け、地面に落ちる。俺は血だらけで、静子の白い肌にも返り血がついている。ぬぐいたかったけど、もう力が入らない。
――なあ、静子、ごめん。
「すーちゃ……? おきてよ……×××!!!!」
静子が俺の名前を呼ぶ。久しぶりに呼ばれたのに、答えることが出来ない。
俺はそのまま意識を失った。
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