釘バットボーイと、驚喜を手に入れた俺。 | ナノ

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「俺は、人を傷付けて悦んでいるコイツらと同じ人間だったんだよ。
『死ね』『地獄に落ちろ』『いつか殴ってやる』『殺してやる』――何度そう思ったか」
「――私だって、思った。いじめられたから」
「いじめって……」
「クラスの男子が言い始めて……お姉ちゃんが乱暴されたから私も汚いって……そこでお姉ちゃんが乱暴されたこと初めて知ったよ。そこから友達に無視されるし地味にいじめられる……辛かったよ」
「静子を……恨まなかったのか」
「恨んだよ。でも……お姉ちゃんは何も悪くないじゃん。ただちょっと人と変わってて、あんな事件に巻き込まれただけで……悪いのはお姉ちゃんに乱暴したやつら。そいつらさえいなければ、私もこんな目に遭わなかったって思ったんだ」


憎しみの籠った強い目が俺を射抜く。確かにその通りで、姉を恨まないコイツはシスコンだ。


事のあらましはこうだ。愛子は塾で遅くなったとき、粗大ゴミ置き場でたまたま釘バットを見つけた。最初は気にすることもなかったが、街頭下でたむろっている不良の顔に見覚えがあった。――最初の被害者・俺の高校の先輩不良二人。


「気ついたら、襲い掛かっていた。まさか倒せると思ってなかった……そのまま釘バットは持ち帰って……どうせならあと二人も襲ってやろうと思ったんだ。そうしたら……いじめの主格に見られて……そいつも襲った」
「証拠隠滅か」
「わたしだとは思ってないと思う。学校にもウィッグはかぶっていったから」
「うぃ……?」
「カ ツ ラ。今はウィッグって言うの。すーくんさぁ、高校生だよな」
「うとくてすみません」


ウィッグなんて洒落た言い方知らねえよ……。




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