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「……」
「あ――スッキリ」
ははは、と笑う。
「釘バットボーイ……いや愛子……ありがとう、あいつらフルボッコにしてくれて」
「――!!!」
釘バットボーイ――愛子は、身体を強張らせ「なんで、分かったの……」と
「全部、推測だった――あの先輩二人と西東は静子に乱暴したバカたちで……コイツもそうだ」
――静子は、変人だ。対人能力も低くて、いつも俺にくっついていた。俺はそれを気にしていなかったけど、高校に入る前心配になった。
『――静子がこのまま俺にくっついて生活するのなんて無理だ』
いずれ別れが来る。その最初が高校受験で、静子に距離を置こうと話した。
それが間違いだった。
静子はクラスで居場所を見つけられず、いつも一人だった。俺と居るせいで、女子からは弾ハジキにされていて陰口悪口言われ放題で……俺はそれに気づかなくて。
バカな先輩二人と西東、南西に目を付けられて『乱暴』されかけた。
未遂で済んだのは人気のない廃工場に運良く、警察が通りかかったのだ。
最悪の事態にならなくて良かったと、心底思う。
それから、静子は家族と俺、それと無機物の生物以外と関わるのを止めてしまった。
それ以外、触られるのが怖いと――俺も最初、触れて良いのか戸惑った。嫌じゃないか、突き放した俺を嫌悪しないのか、散々聞いて、やっと――今を手にいれた。
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