私のハートは紅にときめく | ナノ


  ≫02


あやめの罰ゲームの指示を受けて三人が頭を抱えるなか、鴻季は「つか、それだけで良いの?」と聞き始めた。



「は!?鴻季何言ってるの!」
「そうだよ!!三人と違って私はレンと付き合ってないんだよ!?」
「それだけって!?ラブラブ自慢かコノヤロー!」





鴻季の言いぐさに三人は三人とも文句を言う。鴻季はさも当然のように「それぐらい三日に一度やるだろ」と言うからつわものだ。



「やっぱり、鴻季には簡単だったわね」
「よっゆー!!面倒だからここでやってやるよ」



鴻季はにやりと笑って携帯で奏を呼び出した。藍たちはこそこそと「わたし、この時点で胸焼けする……」「ラブラブ過ぎるのもなぁ……」「ちょ、ちょっと……うらやましいかも……」なんて言い合う。



――しばらくして奏がルノワールに来た。



「何ですか?鴻季さん、今日は雪白さんたちと遊ぶって言ってたのに……」
「まーまーちょっと来いって」



 奏は休日一緒に居られなかった鴻季と会えて嬉しいが、わざわざ呼び出されたことが不服そうで複雑な表情をする。それに、あやめや藍たちに凝視されているのが落ち着かない。



「来いって……うわっ!?」



奏は鴻季の手が届く範囲まで来て腕を引っ張られた。



頬に柔らかい感触。



「え、ちょ、なに……っ!?」
「ほっぺにちゅー?」
「こ、こんなとこで!!み、みなさんも拍手なんてしないでください!!」





奏はぶわっと頬を赤くして顔を手で覆う。鮮やかなやり方にギャラリー(あやめや藍たち)は「「おお〜さすが!」」と言い拍手。



「あやめ、やったからな?」
「満点あげるわよ」



二人はニヤニヤとした笑みを浮かべ、他の三人に目を向ける。



「さて、期日も決めましょう。一週間のうちに頬にキス、オッケー?



出来なかったら……どうしましょうかねぇ?」



あやめは、悪魔のような笑みで三人をどん底に突き落とす。



「うち、今日しか坂城さんに会えないのに!」
「じゃあ、今日までよ」
「うああああああ!!メガネえええええ!!」
「り、リズちゃん……どうする?」
「ど、どうしよう……」
「ど、どうせなら一緒にする?」
「い、いま!?」
「い、いやいやいや!! む、むり……」
「れっ、レンのほっぺにきす……」
「リズちゃん外国の人だし大丈夫でしょ!?一緒に住んでるんだし!!」
「毎日顔を合わせてるんだよ!?挨拶でキスっていうのは形式であって毎日するものじゃ……」
「おはようのキスとかおやすみのキスとか!!」
「してないからっ!!藍ちゃんだって一流くんとキスくらい……」
「安定のへたれだもん!デリカシーないのに!キスとか興味無さそうだし!!」
「レンこそ、そういうことに興味ないよ!!意識されてるかも怪しい!!」



「「……」」



「「なんで……」」



「一流くんなんかに……」「レンなんかに……」



「「惚れたのわたし――!!」」



奏は叫ぶ三人を見てわけがわからず首を傾げるが、大方あやめの仕業だと察しが付いた。……それに巻き込まれたことに、ため息をつく。一方で思う――まあ、でも……鴻季さんにキスしてもらえたのは良かった……かも、と。



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