02
「……っ」

青空の下、学生たちは白いブレザーを翻し、訓練に励む。それぞれに、銃や剣、さまざまな武器を持ち鍛錬に磨きをかける。今は、それぞれ武器を持つ同志で実戦の訓練をしている。
その中に、一際目立つ存在が居た。特にその周りには野次馬が出来ている。
白いブレザーの中に、赤いパーカーを着た赤茶の髪の少年――一般舞台切り込み隊長・町田旭。彼は長い柄に矛(ほこ)と戈(か)を備えた武器「戟」を振るい、同じ武器を振るう防戦一方の相手を追撃する。
キンキンッと鉄と鉄がぶつかり合う音が響き、旭に攻められる相手は冷や汗をかき、容赦無く撃たれる重い一撃に顔を歪める。だが、相手も攻められっぱなしに痺れを切らし、一端戟を引き、旭の右肩を狙った。勿論、峰内にするつもりだった。だが、戟の方向は予想と外れ旭の右頬を小さく切った。
つぅ、と旭の頬を血が伝う。

「あっ」

相手はしまった!という顔を青くし、追撃の手を緩めた。これくらいの怪我はよくあることだったが、実戦の手合いの練習が初めてだった相手は動揺し取り乱す。
だが旭は頬を小さく切られても動揺することなく、涼しい顔で相手の攻撃を受け横に軽くいなす。相手が焦り自分の汗で武器を取り落したところで、戈を首につけた。相手は驚いて腰を抜かす。

「う、うわぁ!?」
「……終わりでいい?」

相手は自分を見下ろすムスッとした顔を見上げ、苦々しく吐き捨てる。

「くっ……手馴れてない人間に本気でやるなよ!」

文句を言われた旭は何も言い返さず、くるっと背を向けた。ちょうどチャイムが鳴り、実戦練習が終わった。旭は、切れた頬に伝う血を右手で拭う。包帯の巻かれた右手は簡単に赤く染まる。それを見つめて、包帯を外す。点呼で呼んでいるのにかかわらず無視し、校舎に消えた。

「どうでもいいけど……負け台詞吐く前に練習したらいいのに」

ぽつり、と吐いた毒は、血で汚れた包帯と一緒にごみ箱に捨てられた。


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -