01
町田旭は、布団を蹴り上げて豪快に起きた。彼は緩慢な動きでベッドから起き上がり、蹴り上げ落ちた布団を踏む。彼の目はまだ八分ほど開いておらず、寝ぼけたままぼーっとする。

「旭、起きたかー?」

しばらく経った頃、部屋の扉が開き兄のきあらが顔を覗かせる。彼はやっと五分ほど開いた目で兄を認識し、くぁ、とあくびをする。

「おはよ…兄貴」
「おはよ、旭。朝ご飯食う時間無くなるから早く支度しろよ」

兄はそう言って弟の部屋の扉を閉めないで出て行く。
ぼーっと焦点の合わない目をしていた旭は急にぱち、と目を開けた。
ーーすん、と彼の鼻腔をくすぐるのはみそのいい匂い。それとは別に魚の焼ける音……。

「……朝だ、ご飯」

ご飯の匂いで覚醒した旭は洗面所に向かい、顔を洗ってぴょんっとはねる寝癖を直して、リビングへ行く。
リビングではエプロンをつけた兄がダイニングでせかせかと動いている。すぐそばのテーブルには、綺麗にご飯、味噌汁、焼き魚におひたし…と和食が並んでいた。
旭は炊飯器に行き、自分の茶碗にご飯をこんもりと盛り、兄の茶碗にもよそってあげた。そして、テーブルに置き席に座る。
兄はそれに気づき、手を洗いエプロンを外してテーブルに座った。

「おぉ、ごめん。食べてて良かったんだけど」
「ん。いいの」
「そ。じゃあ、いただきます」
「いただきます」

二人で手を合わせて、朝ご飯。
旭は一目散にご飯をかっこみ、食べる。

「ゆっくり噛んで食べろ…まだ時間あるし、ご飯は逃げない」
「もぐもぐもぐ!(おなかすいた!おかわり!)」
「食いながらお腹空いたって…」

兄は、バカ、と言いながら差し出された茶碗を受け取りちゃんと盛ってやる。その後、魚をつっつきなからピッとテレビをつけた。

『おはようございます、ニュースの時間です……』

チャンネルを回しながら、ほとんどの番組が政治情勢のことでげんなりする。

「きな臭い話ばっか…情報統制もしてるんだろうけど」
「んもぐ、もぐ、もぐ…もごご」
「食べながら喋るな。お菓子が高くなった?米国との折り合いが悪くなってきたからだろうな……さて、ごちそうさま。旭、食べたら食器片付けて準備して学校」
「もご!」

旭は口一杯に頬張りながらうなづく。彼も三杯目のご飯を食べてごちそうさまと挨拶をして、バタバタと学校に行く支度をする。


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