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ズゴゴゴとストローのついた飲み物を音を立てながら飲んでいる隣の先輩は、どうやら目の前で女性陣に囲まれて埋もれている白髪の先輩が面白くないようで、さっきからどうもむくれていた。
「気になるなら呼べばいいじゃん。あやりん先輩が呼べば遊真先輩きてくれるでしょ」
「別に、気になってないよ」
「そんなんだと、つまんないウソつくねって言われるよ」
「緑川くん、モノマネあんまり似てないね」
オレの言葉で少しだけ機嫌が良くなった気がする。今日は遊真先輩とあやりん先輩が個人戦をしていたのを見かけて交代で戦っていたところ、オレとあやりん先輩がブースから出たらこのありさまだった。戦っている時は二人とも容赦なく攻撃し合っているから疑う人もいるけれど、遊真先輩と付き合っているあやりん先輩から見たらやっぱり面白くないらしい。そもそもあまり交流のない人達に対してのあやりん先輩は結構あたりがキツイというか冷たいというか、まぁそんなところもあるようで、あやりん先輩が入隊したてのときなんかは結構ひどかったらしい。オレは入隊したときから仲良くしてもらっていたから(学校の先輩でもあったし)、目の前にしないと実感できないものだった。
「あやりん先輩って結構短気ってほんとだったんだね」
「それ、だれが言ってた?」
「遊真先輩とか、色んな先輩たちも」
「そんなことないつもりなんだけどなぁ」
「実際、今も怒ってるじゃん?」
「いや、怒ってるつもりはないんだよ」
えー、と言えばほんとだってと眉を下げながら笑っている。この人はよくこういう笑い方をする人だ。
「複雑なのはもちろんだけど、他の人と仲良くすることって大切だから」
「それ、あやりん先輩が言う?」
「師匠の教えなの! それがなかったら私と緑川くんもこんな風に話してはいなかったかも」
王子先輩には感謝しかないんだよ、なんて言うからふーんと返してみる。どちらかと言えば人と話すのに困らない方だったからその苦労や難しさはあまりわからなかったけれど。
そんな話を終える頃に、遊真先輩が戻ってきた。頭を撫でられたのだろうか、もさもさした頭がぐちゃぐちゃになっている。横の先輩は解放されたのが良かったのか、ほっとした顔で次は私と遊真くんがブース行く番だねなんて立ち上がっていた。