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「おーじ先輩はなんでアヤリを弟子にしたの?」
「彩里から聞いてないのかい?」
「なんか、はぐらかされたから」
「なるほどね」

珍しい人物に話しかけらた。玉狛のクーガー。今となっては一応ぼくの弟子にあたる、梨本彩里の恋人、ということでいいのだろう。彼のおかげもあってか、最近の彩里はとても楽しそうだ。前回、ランク戦ではやられてしまったけれど、ぼく自身としては彼女のことで、彼に伝えていない感謝の気持ちをもっていたりする。
「弟子にした理由だけど、深い事情はないよ」
「と、いうと?」
「目についたから、かな」
「ふむ…」
ぼくの気まぐれだよ、と付けたせば、ふーんと真っ直ぐ見つめてくるクーガー。またなにか言いたげなその表情はランク戦の時には見受けられなかったため新鮮味を感じる。新鮮味もなにもぼくはクーガーととても親しいわけではないから当たり前だけど。
「満足かい?」
「おーじ先輩、ウソじゃないけど、もっと理由あるよね」
「厳しいね、クーガー」
どうやら見逃してはもらえないようだ。彼は不思議だ。白髪に赤眼、世の中では珍しい風貌なのに組織にしっかり溶け込んでいて、どうもこちらの考えを見透かしているというのは言い過ぎだけども、誤魔化しは見逃して貰えないことが多い。さっきも言ったけど、ぼくとクーガーは会話を多くするわけではないが、その数少ない会話でそう感じることがとても多いのだ。
「アヤリをあんまり構わないのも関係あるの?」
「ぼくがアヤリを構ってないように見えるかい?」
「少なくともウチの先輩たちに比べたらね」
「なるほど」
「どうなの?」
「もちろん可愛い弟子だし、面倒は見ているつもりだよ。技術だって教えているし、構ってないって思われるのは心外かな」
「ふむ」
「でも、ぼく以外にもたくさんの人と関われた方が彩里の為だと思ってね。」
ぼくに固執して、前と同じようにはなってほしくないからね。詳しくは聞いてないんだけどね、と付け加える。
「それに、もしあの子が固執する相手ができるならきっとそれはぼくじゃない方がいい」
「現状だとキミだろうね、クーガー」
「それはどうかな」
「少なくとも、ぼくよりはキミであってほしいかな」