1.崩壊する俺の”いつも通り”





「はぁ〜、今日も疲れた…」

風呂上がりの濡れた髪をタオルでガシガシと雑に拭きながら寝室へと向かう。今日もいつもと何ら変わらない一日だった。いつも通り会社に行って働いて、それから帰宅して普通に飯食って風呂入って後は寝るだけ。いつも通りの一日だがいつも通り疲れた。あ〜明日も仕事だるいなあ…なんてテンションをへこませつつ、俺は勢い良くふかふかなベッドにダイブした。




…いや、訂正。






”いつも”なら、ふかふかな筈のベッドへとダイブをした…






ガッ…と、ふかふかなベッドには似合わない鈍い音がした。そして同時に、俺は何かに突き飛ばされ、ベッドから転げ落ち、そのまま勢い良く壁に激突。痛い……すんごい痛い。久々にくそいてぇ…


「痛って…」


思わず、口に出る。当然の事ながら、痛い思いをするだ何てこれっぽっちも考えてなかった俺は、回らない頭で痛みの原因を探る。まあ…探るまでもなく、原因は見たまま直ぐに解明されたが。

どうやら俺は今、ベッドの上に寝転がる ”誰か” の上へとダイブをし、そいつに勢い良く突き飛ばされたことによりベッドから落下、そして壁に激突…。
因みに説明しておくが、俺は一人暮らしだし彼女だってもう一年以上は居ない。そして、この家を出入り出来る人間は俺以外に居ない。朝家を出る時にはちゃんと戸締りをしたし帰ってきた時だってそのまま鍵は閉まっていた。部屋を荒らされた形跡もない。

が、今俺のベッドの上にはこの誰だか解らない茶髪の男が居る。なんでだよ!お前誰だよふざけんな!とりあえずいてぇ!


「いってぇえなクソったれが…誰だテメェ!いきなり飛んできやがって!!危ねえだろうが!!!」


…俺が口を開くよりも先に、茶髪の男が物凄い形相で怒鳴ってきた。「誰だ」と言うフレーズに対し、うわぁ〜それ俺の台詞〜ふざけんな〜とか思いつつ、仕事の疲れと先程の痛みが絶妙に作用してイライラする俺。
自慢じゃないが俺はハプニングだとか、いつも通り以外の出来事はあまり好きじゃない。ってゆうか嫌いだ。いつも通りは疲れるが、なんだかんだで俺はいつも通りが気に入っているし、何より変化だとか、そうゆうものがめんどくさくてたまらない。
…よって、今この状況で俺が冷静になれる筈もなく、条件反射で思い切り言い返してやった。


「いやいやいや…そもそもここは俺の家だし!?今お前が占領してるその場所だって俺のベッドだし!?お前が誰だよ!!!俺のベッドで何してんだよ!」


いつも通りさっさと寝たかったのに、こいつのせいで台無しだ!俺のいつも通りとそのふかふかのベッドを今すぐ返せ!!!





つづく…?

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