2人の剣が届くより速く、斧が床を叩く。その衝撃は床を破壊するだけでは止まらず、粉塵を上げ、男の姿を隠す。
「くそっ、……!?」
咄嗟にジョブスが剣による防御を取った瞬間、粉塵を裂き衝撃波が襲った。何とか防御したとはいえ身体は後方に吹き飛ばされ、壁に激突する。
「がっ、……く……のヤロ……!」
立ち上がろうとするが、正面からその衝撃を受けた身体に思うように力が入らない。このままではと焦るジョブスだが、男は何故か背中を向け距離を取ったエミリオを見た。
そこへ礼拝堂の奥と扉から僧兵達が現れた。到着が遅れたのはフィリアが人払いをしていた故か。
「なっ……んだ、コレは!?」
「司祭を御守りしろ!!」
戦闘体勢を取り、前衛部隊十数人が男へ向かって行く。弓やボウガンを構えた者達は狙いを定め、術師は詠唱を始める。
しかしフィリアが叫んだ。
「駄目です! 逃げてください!!」
それと同じくして斧が横に奮われた。その際起きる風圧は僧兵達を吹き飛ばすという、有り得ない現象を起こす。