「……新型モンスターと同じ……展開型晶術……!?」
騒乱後現れ始めた新型モンスターの中には、己を中心とした一定範囲に己の“領域”を作るモノが居る。当然その領域内に人間が入れば身体に異常を来す。
だが人間にはその術は無い、今現在行使が確認されているのはモンスターだけ。
「……“以前”は……あんな……」
エミリオは極々小さな声で呟く。
その後ろでフィリアは詠唱を完成させた。
「プリズムフラッシャー!」
男の頭上から光剣が降り注ぐが、あろうことか斧の一振りでそれは消滅する。晶術を物理的に打ち消すその行為にフィリアは絶句するが、後ろで震えているリアラの存在を思い出し己を奮い起たせた。
エミリオはジョブスに目配せをし、一瞬詠唱を終わらせる。
「デルタレイ!」
光球は男に向かうが案の定斧に薙ぎ払われた。だがその瞬間足下の淀みが消える事を見逃さずエミリオとジョブスは再度前後から攻撃を仕掛ける。
「ハッ、くだらんな!」