当然ながらフィリアの表情は優れない。ジョブスも溜息を吐き、語るエミリオは高い天井を見上げた。
「今戦争をしても、国には何のメリットにもならない……だがレンズが関わっているなら、更に踏み込む必要があるか」
「私もお手伝い出来たらよいのですが……」
「アタモニ神団のシンボルたるお前が動くのは得策ではないからな。それにお前には充分手伝ってもらっている、カルバレイスの流行り病の予防はアドバイスが無かったら出来なかった」
「……はい」
幾分か表情が柔らかくなったフィリアは、不意に笑う。突然どうしたのだろうとエミリオとジョブスが視線を向ける。
「いえ、ちょっと昔の事を思い出してしまって……」
「あーアレでしょ、ツンケンしてた頃の。他人を褒めるってタイプじゃなかったもんなァ」
「悪かったな、扱い難い性格で……」
目尻を引きつらせながらもエミリオは、彼等は間違った事は言っていないと過去の己に内心呆れた。
その時、扉が開き3人は反射的に振り向く。