「軍人よりおっかねーや……」

「忠誠心という点では圧倒的に向こうが上だろうな」

「胸が痛い……でもめげないし泣かないし……」


 自分を鼓舞するジョブスを連れてエミリオが門番に近付くと、すかさず若者の方が警戒心を向けた。


「おい、今は礼拝の時間ではないぞ。一般人が神殿に入る事は……」

「待て、この方は良いのだ」

「は……?」


 初老の門番の言葉に若者が首を傾げる。それを見てやれやれと言わんばかりに溜息を吐くと、初老の門番は説明をした。


「この方は先の騒乱で世界をお救いなされたリオン・マグナス様だ、お前も名前くらい知っているだろう」

「え、……え……!? 嘘……!?」


 信じられないと表情でも語る若者を他所にエミリオは初老の門番に質問をする。


「フィリアは今礼拝堂か?」

「今の時間ならば恐らくは」

「そうか、分かった」


 フィリアの所在を確認すると、若者が彼に向かい深々と頭を下げた。


「あ、あの、すみませんでしたっ、知らなかったとはいえこんな失礼な……」


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bkm

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