「とにかく、あまり神団側には踏み込まないようにしろ。面倒事を増やされては敵わんからな」
「分かっている、俺は分相応に生きているからな、心配するな」
「……よく言うよ……」
過去の行いを考えれば、或いは過去の行いがあるから今があるのかエミリオは迷う。
「では、またその内に!」
意気揚々と木材を担ぎグリッドは去って行った。
その明るい背中にジョブスは感慨深く呟いている。
「いいなァ……俺はあそこまでポジティブになれねェわ」
「お前、外見ポジティブだが中身はひねくれているしな」
「総帥にだけは言われたくねーですよ」
「……行くぞ」
自覚している本人は大神殿に向かい足を進めた。ジョブスもそれ以上は指摘せずに続く。
流石に大神殿の前にもなると人が多くても独特の静けさがある。ただ、近くに建っているホテルの客引きは別の意味で静かなのだが。
そして大神殿の入口に立つ若者と初老の門番の眼は、不釣り合いな程に鋭い。