屈託の無い、言葉通り安心の笑顔を彼は見せた。
ジョブスは小声でエミリオに問う。
「いいんですか? アイツ等今ちょっと馬鹿やって反省中ですよ……」
「馬鹿正直にそれを伝えてやる気を削ぐ必要もあるまい」
そんな会話がされている事も知らずグリッドは声を抑えアイグレッテの現状を話した。
「しかし最近聖女に会いたいが為に、身体を壊しているというのに無理をして此処を目指す者が増えた。だがレンズを寄進出来ず神殿にも入れず、結局無理が祟って……という事も稀にある、報われんものだ」
「聖女が神団を牛耳っているというのはほぼ間違いないだろう。何にせよ、国家の眼から見ても放置しておくわけにはいかん……こちとら私財なげうってレンズの処分を続けているというのに」
「聖女が現れてから赤字ラインギリギリですもんねェ……赤字に落とさない所は流石ですよ」
微妙なジョブスのフォローを受け取ったエミリオは小さな溜息を吐き、とりあえずここでの目的は果たさなければと、グリッドに改めて声を掛ける。