暫く歩いていると登りの道になった。足下を確かめながら進み、あっという間に向こう側に到着する。
「この際敢えて訊きますが総帥」
「何だ」
「フィリア女史がボム製作止めたって話、信じていいんですよね?」
「……ああ、……多分」
確実にそうだと言い切れない自分を恨めしく思いながらエミリオは、力の無い眼で頷くジョブスを連れ崖から離れた。
そのまま大神殿歩へ進め、2人は外灯がある森に入る。
「この辺りも大分変わりましたよね。昔、総帥に助けられた時の事を思い出しますよ」
「あったなそんな事。今では小まめに手入れがされているせいか、モンスターについての報告はグンと減ったが」
18年前の騒乱がキッカケで大神殿への参拝者が増えた事により道は整備され、やや鬱蒼としていた森は明るさが増している。更に、ハーメンツの村人の移住や信者等の人の集中により大神殿の側には町・アイグレッテが作られていた。
森を抜けたすぐ先にそれはある。
「相変わらず賑やかですねェ、神殿の土地だってのに」
「これだけの人間が集まって、賑やかじゃない方が不気味だ」