「……く……ぅう……」
涙が止まらず、膝をつきテーブルに突っ伏す。コレは抱いてはいけないモノだと己を叱咤し、涙を拭い顔を上げた。
この望みは、あのエルレインに付け入る隙を与えてしまう。この新聞はわざと置かれた可能性が高い。
「……私を、呼び戻せる、女……」
自ら命を絶っても、恐らくまた呼び戻すのだろう。そうなれば相手はもう譲歩しない可能性が高い。
自由であれる内に正体を掴まなければならない、自分と同じ“レンズの気配がする”女を。
「アタモニ神団か……」
自分が置かれた立場、監視等の状態、あらゆる可能性を考えていると、外から騒がしい声が彼女の耳に入る。
『レンズを盗んだのは俺達じゃねェって言ってんだろうが!』
『いたっ、ちゃんと歩くから押さないでってば!』
若い男と少年らしき2つの声。
窓から確認すると、声に見合った外見年齢の2人が礼装姿の男達に囲まれこの建物に近付いて来ていた。聞こえる言葉と状況から察するに連行されているのだろう。
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bkm
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