ストレイライズ大神殿へ向かう為には、ハーメンツヴァレーと呼ばれる大地割れを越えなければならない。

 18年前の騒乱後、地割れが起きるまで村があったそこに1台の馬車がやって来たが、地割れを前にして止まった。それに乗っていたエミリオが御者と、御者の隣に居るジョブスに声を掛ける。


「どうした」

「橋が落ちてんですよ、昨日の雨ですかね」

「何……?」


 二振りの剣を携えた彼は馬車を降り、ジョブスと共に橋を確認した。

 そこに、ある筈の橋が無い。崩れた形跡があり、ジョブスが言った通り昨夜の雨が原因なのだろう。


「地盤自体がアレですからねェ……遠回りします?」

「……いや、降りて向こう側に行くぞ、その方が早い」

「分っかりましたっと」


 指示を受けジョブスは馬車に戻り、御者に街へ戻り橋の事を軍に伝える様に言った。

 その間エミリオは崖の下を確認する。


「問題は無い……か」


 眼に見える距離に向こう側へ行く為の道は確保されている。地盤の事を考慮し進めば大事は起きないだろう。


prev next

bkm

[back]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -