「じゃあ、一番有力なのはエミリオさんだね、ダリルシェイドに居るっていうのはみーんな知ってるよ」
手掛かりが見えてきたが、ロニは首を横に振る。
「確かにそうなんだが、エミリオさんはどうやら出張らしくてな、今はダリルシェイドに居ない可能性が高い。そもそも激務だからあの子が会えるかも微妙だな。
エミリオさんの屋敷に居ればあの子が来て会えるかもしれないが、多分会えたとしてもまたスルーされてどっか行かれるか」
「追い掛ければいいんじゃない?」
「ばっか、それじゃストーカーだろ、男がする事じゃねェ。出来るなら英雄が居る所で会えるのが1番だな」
「そっか……じゃあ、有力なのはフィリアさんかな? ウッドロウさんは外国の王様だけど、フィリアさんはストレイライズ大神殿に居るよね」
漸くカイルが辿り着いた答えに微笑が浮かべられた。
「ああ、それにフィリアさんには謁見出来る時があるからな、エミリオさんより会いやすいだろ」
「じゃあ目指すはストレイライズ大神殿だね!」
「おう、ダリルシェイドには寄らず真っ直ぐ神殿を目指すぞ、時間との勝負だ」
「うん!」
青い空の下で始まる旅に、少年は希望に満ちた笑顔を見せた。
だが母が抱くのは全く違うモノ。
「ゴメンね、カイル……」
流す涙は既に枯れ果てていた。