改めて部屋を見渡すとテーブルに新聞が置かれている事に気付き、それを手に取り内容を確認しようとしたが、日付を見て彼女は思わず息を飲んだ。
「18年……あの日から、“そんなに”……」
心の何処かで自分の言葉を笑う。既に千年存在し続けていたというのにと。
「……ハァ……」
新聞を確認すると最低限の事が分かる。
今手にしているのはセインガルドの新聞であり、少なくとも今居る国はセインガルドで間違い無い。そしてこの国を治めている王の名はアシュレイ、この名も彼女は知っている。
そして、とある企業の名に眼が止まった。
「オベロン社……存続しているのか……」
悪意を隠す為だけに作られた組織。それが今や、世界各地に窓口を置き各国を繋げるパイプになっている。
新聞に涙が落ちた。
「……っ、…………」
当然、オベロン社総帥の役職を指す名前は彼の名前。
そして募る、今すぐにでも会いたいという感情。
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bkm
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