「そんでもってカイルはそんなスタンとアタシの子供だから、一ヶ所にじっとしてられないのはよーく分かるのよ。明日、旅に出たいって言い出すんじゃないかしら」
「う……」
流石だとしか言い様が無い青年に不適な笑みを浮かべるルーティ。
「レンズ探して、不思議な女の子に会って、捕まって、助けられて、脱出して……こんな体験したのに何も言い出さない筈が無いでしょ。それにその女の子が気になってる感じみたいだしね」
「ルーティさんに敵わねェな……」
「……アンタも、着いて行くんでしょ……?」
「……当然ですよ」
頷くそれは“家族の絆”というよりも“何かの覚悟”に近い。ルーティもそれを分かっているのか複雑そうに笑う。
「ホントは怖いわよ? カイルが自分の視界から居なくなるのが。でもカイルには何時までもスタンの背中を追うだけじゃなくて、世界はもっと広いって事を知ってもらいたい……その為の最大の障害は、ずっと此処に居る……いや、アタシが此処に閉じ込めてる事なのよね」
「ルーティさん……」