「黙って出ていって、しかもこんな時間に帰って来るなんて……! どれだけ心配したか分かってるの!?」
「すぐに、帰って来るつもり、だったんだけど……色々あって……その……」
「……もういいわ」
「母さん……?」
顔を上げたカイルが見たのは背を向ける母。
その背中に声を掛けようとするのを彼女は遮った。
「近所の人達に捜すの手伝ってもらってたから、ちゃんと説明しないと……」
「母、さん……」
「アンタは部屋に行って、休みなさい」
突き放す言葉、カイルは我に返る。
「でもっ、母さ……」
「いいから!」
「…………」
肩を落とした少年は口を閉ざし階段を上がっていった。残ったのはルーティとロニ。
重い沈黙が暫く続いた後、ロニが頭を下げた。
「すみませんルーティさん、俺が軽い気持ちでアイツを誘ったから……」
「……そう」
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bkm
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