しかし彼はそう考えた上で決断した。
「世界の動きは、自分の眼で見ると決めたんだ。それにカルバレイスの流行り病についてはフィリアに協力してもらっている、私が直接行った方が滞り無い……諸々を含めてな」
「お察ししますよ。しっかしマリアンさんも大変ですねェ、主がコレじゃ」
「とっくに慣れましたわ、ジョブスさんより長い付き合いですので」
「こりゃ一本取られましたわ」
和やかな雰囲気、しかし緊張感が無いわけではない。
明確に不透明であるモノがある以上消える事は無いだろう。
「雨、止みますかねェ」
「そうですね、洗濯物が干せないと困ります」
「……止むだろう、明日には」
消えぬ不安は雨でも洗い流せない。
そして孤児院に居る彼女もそれは同じなのだろう。
「今何時だと思ってるの!!」
「ご、ゴメン……母さん……」
リビングで俯くカイルの頬は、母親であるルーティに叩かれた事による赤くなっている。
傍にはロニが居るが口すら開けずにいた。
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bkm
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