「帰ったら直してやるよ」
「出来るの?」
「エミリオさんの所に色々勉強しに行ってた時に細工物もちょっと習ったからな、これくらいなら直せるぜ」
「へー、見かけによらないね」
ちょっとだけ傷付いたロニだが、そこは笑顔で大人の対応をする。
「男ってのはな、細かい仕事が出来た方がウケが良いんだよ」
「女の子に?」
「当然だ」
「胸張って言う事かな……」
カイルが笑うと、ロニも笑った。
そして2人は再び駆け出す。
「……あ」
「今度は何だよ」
「ううん、何でもない、早く帰ろっ」
“彼”が似ているのは“あの人”だと、少年は不思議な想いを抱く。
“彼”は、海と空の境界線を見つめた。
「……ごめん、カイル……」
この境界線にすら自分の居場所は無い、だがそれで良いのだと彼は己に言い聞かせる。
「アタモニ神団なら……大神殿、か……」
やるべき事も決まっている。
「……相変わらず、嘘ばっかりだな……」
“偽り”を繰り返す。
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