その言葉の後に再び背を向け彼は歩き出す。
「もうすぐ雨が降る、さっさと帰った方が良い」
「え……」
「……じゃあな」
その背中はすぐに木々の向こうへ消えて行った。
「……不思議な人だね」
「ああいうのは“変”って言うんだよ」
「でも俺の事応援してくれたし」
「バーカ、アレは皮肉だ」
肩を竦めるロニの言葉に納得出来ないのかカイルは難しい顔をしている。だが今すべき事は帰る事だと気を取り直した。
「じゃあ……帰ろ」
「おう、この辺りだとクレスタは……あっちだな」
ロニが指差した方角へ2人は駆け出した。
しかし突然カイルが足を止め、肩透かしを食らうロニが不思議そうに少年を見る。
「どうしたよ」
「いや、そういえばコレ……やっぱり、鎖切れてる……」
取り出したのはあの御守り。ストラップである細い鎖が切れており、それが落とした原因の一つなのだろう。
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bkm
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