俯くカイルの隣でロニが溜息混じりに反論する。
「今更だが子供相手に凄むなよ、大人気無ェぞ」
「……フン」
背を向けた彼は出口に向かい足を進めた。それをカイルが追い、ロニが続く。
暗闇から漸く抜けた彼等が見たのは海と、雲がある夜空に輝く月と星。その光景にカイルは更に肩を落とした。
「うわ……絶対母さんに怒られる……ビンタ一往復じゃ済まないかも」
「俺も一緒に謝るからしょげんなよ。旅に出る許可、貰わなきゃならねェだろ?」
「うん……そうだね」
ロニの励ましで元気が出たのかカイルは顔を上げ頷いている。
その横でユダが飛び降り地面に着地した。我に返ったカイルは慌てて続き、やはりロニも追う。
「ユダ!」
1人早足で進んでいたユダは後ろからの呼び掛けに足を止め、追い掛けてくる少年と青年を見た。
「何だ」
「ど、ドコに行くの?」
「お前には関係に無い……さっさと帰ったらどうだ」
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bkm
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