13

「そこだ!」


 力強く駆けたカイルはモンスターの傍で跳び、ある一点を狙う。それは身体を曲げる際に露出する、堅い鎧の間の柔らかい肉、それも頭に近い部分。


「蒼破刃!!」


 真っ直ぐ放たれた真空刃は予測通りに命中し、肉を裂き、抉る。それが止めの一撃となったらしく、モンスターは細い断末魔を上げ力無く水路へ消えて行った。


「よっしゃあ!」


 勝利に喜ぶカイルは両手を上げ、満面の笑顔で感情を表現する。

 彼の下に駆け寄るロニは力一杯それを抱き締めた。


「よくやったじゃねェかカイルぅー!」

「ちょっ、ロニ苦しいっていうか恥ずかしいよっ」


 青年を押し返しカイルは少し怒ってみせるが、ロニには全く効かない。そろどころか一層笑顔を輝かせていた。

 そこに合流したユダが辛辣が言葉を投げ付ける。


「あの程度のモンスターに手こずっておきながら、よくそこまで喜べるな」

「う……だ、だってこんな強いモンスターは初めてだったし……」


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bkm

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