少し肩を落とす少年に溜息を吐くユダ。その頭上にモンスターの尾が振り上げられた。
「させっかよ!」
下ろされる直前、飛び出したロニがハルバートを奮い弾く。尾は水路に消え、頭が再び現れた。
ユダの傍に着地したロニは鼻で笑ってみせる。
「礼は要らねェぜ? カイルを助けてもらったからってだけだ」
「……余計な世話を」
「そいつは悪かったな、身体が勝手に動いちまうんだよ……っと!」
吐き出された冷気を2人は避け、再度戦闘体勢を取った。同じく剣を構えるカイルは何かに気付いたのか、2人に叫ぶ。
「2人共! 俺にもう1回だけチャンス頂戴!」
彼の中で何か答えが出たのか、眼には明らかな力がある。
それを見たユダは口を開けるモンスターに炎弾を放ち妨害した後、不適な笑みと共に答えた。
「やってみろ、英雄志願者」
「……おう!」
prev next
bkm
[back]