雰囲気を良くしようと彼は一生懸命言葉を繋ぐ。
その様子に溜息を吐いたのはロニだった。
「カイルに正論ぶつけられるとは……俺も落ちたもんだなァ」
「な、何だよそれっ、俺だって成長してるんだからなっ」
「引き出しの奥に赤点テスト隠してる奴に言われたくねェよ、ってな」
意地悪な笑みにカイルは酷く慌てる。
「そ、それはたまたまっていうか、ちょっと調子悪かったっていうか、何で知ってんのさっ」
「へっ、お前の事なら俺は何でもお見通しだぜ」
「うー……あ、ユダ今笑ったでしょ!?」
喉の奥で笑っていたユダは、やはり冷やかな言葉を返した。
「こんな所でよく騒げるなと思ってな……。それに、そのハルバート、そのままでは切れ味が落ちるんじゃないか?」
「え、あ、ああ……確かにそうかもな……」
通路の障害物は焼き払われたが、その前に斬り開こうと使用したロニのハルバートにはその残骸が残っている。しかし水で落ちないのは既に確かめており、手で取り払うのも難しいのは触らずとも分かる。
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