部屋で休んでいたユダは、やって来たカイルの話を聞いて言葉に悩んでいた。

 それが不機嫌なモノに見えたのかカイルが様子を伺う。


「ごめん、迷惑だっかな……?」

「いや……べつにそういうわけじゃない」


 せめて別の味だったらとは流石に言えず、結局言葉を濁した。


「わざわざご苦労だと、思ってな……アイスキャンディーは貰っておく」

「そっか、よかった!」

「ったく、礼くらい素直に言えよな」

「僕は頼んでいないからな、お前達が勝手に持ってきただけた」

「お前なァ、いい大人が屁理屈吐くなよ」


 意に介さないとばかりに無反応のユダにロニが溜め息を吐くと、カイルとふと訊いた。


「ユダ、何か良い事あった?」

「……何だいきなり」

「や、何か何時もより楽しそうっていうかさ、そんな気がして」

「気がするだけなら気にするな、面倒だ」


 肯定は無いが否定も無い。

 それに気付かなかったカイルは少し肩を落とすが、すぐにロニが助け船を出した。


「無い、とは言わないんだな?」

「……だから?」

「いや? 別に?」

「根拠も無く喋るな……」


 腹の探りあいを始めたロニとユダだったが、すぐにロニが吹き出した。

 突然の事に流石に面食らったユダが唖然としていると笑いながら彼はその訳を話す。


「何かお前、子供みたいだと思ってなァ」

「……何を言ってる?」

「いや、だってムキになるんだもんよ」

「僕は別にムキになんて……それは寧ろお前の方だろう、いちいち絡んでくるんじゃない」


 早く話を切り上げたいのかユダは窓の向こうに視線を向けてしまう。その様子をロニが楽しそうに見ている。

 二人のやり取りを始めこそ不安そうにしていたカイルとリアラだったが、“子供みたい”という言葉が出た辺りから肩の力を抜いていた。


「そう言うロニだって子供みたいだよ?」

「ハァ? 俺の方が立派な大人だろうが」

「大人は自分で自分の事大人だ、なんて言わないと思うわ」

「うん、俺もそう思うっ」


 リアラの言葉を全力で肯定するカイル。それに対して驚愕の表情を見せるロニに追い討ちを掛ける様にユダが声を殺して笑う。


「何を笑ってんだ……お前だって同類だからな?」

「それはお前の戯れ言だろう」

「ホントに口が達者だなァ? この野郎」


prev next

bkm

[back]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -