「あーそりゃ慌てて拾うわな」
「……コレは、レンズの様だが」
静かなユダの質問にカイルは嬉しそうに答えた。
「コレは母さんから貰ったお守りなんだ。なんか、昔仲間から貰った物なんだって。エネルギーは知り合いの人に抜いてもらったとか」
「……そう」
明るさに対して素っ気なく返し彼は進む。
しかしそんな事は気にせず今度はカイルが質問した。
「ね、ユダの家族は?」
「……そんなモノは居ない」
「あ……ゴメン」
思わず謝罪する少年に、彼は冷静とはまた違った静かな声で言った。
「きっとお前が言う家族と、僕が言う家族は似ているのだろうが全く違う」
「え……?」
「居ない方が良いんだ、僕の家族は……」
「……ユダ……?」
無表情、しかしその眼は揺れている様にカイルには見えた。コレも何処かで見た事がある様な、もどかしい気持ちを抱く。
「だから、謝罪の必要は無いという事だ」
「う、うん」
気のせい、ではない筈。
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bkm
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