2人の間に居るカイルは小さな溜息を吐いている。
「悪い事はするもんじゃないって事だね……。あ、でもあの子に会えたから、えーと……何て言うんだっけ」
「不幸中の幸い、か?」
「うんっ、ユダあったまいー!」
「その前に旅の許可を貰うっていうデカイ壁があるけどな」
ロニの言葉にカイルの明るさは消える。それほどにその“壁”高く、分厚いものなのだろう。
「俺が英雄だとしても、母さんは強敵だなァ……」
「ハハ、それでこそ母親ってモンさ。そういえばカイル、さっき何落としたんだ?」
「ん、コレだよ」
訊かれたカイルは何かを道具入れから取り出し、よく見える様にライトの近くで手を開いた。そこにあるのは傷の無い球体レンズが装飾に使われた飾り。エネルギーが失われているのか一切輝きは無い。
ロニはそれを見て納得したのか数回軽く頷いている。
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bkm
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