「神団側にとってレンズ泥棒なんて捨て置くわけにはいかない罪人だが、同時にそんなコソ泥……しかも神団騎士を逃がしたとあっては恥もイイ所だろう。あの状況での逃げ道はこの水路しか無いが、この通りの暗闇……地理があっても探すのはかなりの手間だ。
消えたレンズか、己の恥か……そこの元・神団騎士だったらどちらを選ぶ」
「俺? そうだな……この状況下で追いかけたいとは正直思わないな。出口になる箇所で待ち伏せって手もあるが、この教会に居る人間そんな多くないもんなァ……」
「じゃあ見逃されるかもしれないって事?」
少し希望が見えてきた事でカイルの声は明るくなるが、すかさず彼は告げる。
「そうかもしれないという可能性があるだけだ、油断は出来ん。まあ、お前達がレンズの横取りを企て神団に捕まったという事実は変わらんがな」
「そう言うお前も教会に忍び込んだ罪があるけどな」
「バレなければ問題無い。仮に僕の事をお前達が他人に話すとして……僕が口を開かないと限らんしな」
「ぐぐ……」
確かにその通りだとロニは言葉が詰まった。
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bkm
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