「しかしなぁ、あの二人見てると昔の俺達思い出すなぁ」
「俺達って……ウイルさん?」
「ん、とにかく気が合わなくて、喧嘩しては上官に怒られてたわ」
「そうなんだ……全然想像出来ない、何時も仲良しに見えたから」
驚いているカイルに、楽しそうなジョブスは更に昔話をする。
「生真面目なウイルと不真面目な俺じゃ合うわけないんだよな、生まれも育ちも大分違うし」
でも、と彼は笑顔で続けた。
「不思議も息が合うんだよ、今の彼等みたいに。真逆の位置に居るのに同じ場所が見えてんだ」
「同じ場所?」
「目標、って言った実は方が分かりやすいか。そるが明確になると相手の考えてる事が手に取るように分かる……未だに不思議で仕方ない」
ロニとユダはもう歯車の取り付けが終わったのか金属カバーを元に戻している。
「ね、それって相棒って事?」
「あー……まあ、そういう事かな」
肯定するとカイルの目は夢見る少年その物になった。
「いいなぁ、憧れるなぁ」
「おんや、ロニはそうじゃないのか?」
「ロニはー……」
何か不満があるのか少し膨れっ面で、そして小声で少年は話す。
「そりゃあ、ロニは頼りになるんだけど……俺の事、子供扱いするから……」
「あー……うん、まあ言いたい事は分かるな」
そしてロニがただ彼を子供扱いしているわけじゃない事をジョブスは知っている。
しかし一切そんな事は悟られぬまま彼はやや乱暴に大人になりたい頭を撫でた。
「ま、焦らないこった、どうせ何時かはだれでも嫌でも大人になるんだから。大人になっても子供みたいな事言ってる奴もたまに居るけど」
「それってロニの事?」
「君の何気ない毒舌は間違い無く絶対母親譲りだな」