やや手狭だが真っ直ぐな通路の先の光の中に既に開かれた扉がある。それを抜ければ再び霧の世界に足を踏み入れる。
場所は山間らしく、霧は一層濃いがすぐに近くに羽根が止まっている背が低めで骨太の風車があり、その根本に彼等は居た。
「毎度思うが、よくこんな所に作ったものだ」
「時給良かったですからねェ、どっかの会社が資金援助したから」
「人材育成にはもってこいだからな」
「お陰さまでウチも人材に困ってませんよ。いやー度胸のある奴ばかりで」
明るく笑うジョブスと風車に近付くと、ユダがカイル等に何か説明をしていた。
「モンスターの活動エネルギーであるレンズは無尽蔵じゃない。だからモンスターのタイプにもよるが本能的で他のモンスターを襲ってエネルギーを奪ったり、動物を襲ってその生命力を己のエネルギーにする。飽くまで欲しいのは生体を動かすエネルギーだ、機械を動かすという型の違うエネルギーでは腹は満たされない」
「なるほどー、だからモンスターは機械を壊さないのか」
「無駄な殊に体力を使いたくないからな。……時と場合によるだろうが」
内容から察するにモンスターが機械を壊さないのかどうかをカイルが訊いたのだろう。ユダは答えながら風車の制御盤を調べている。
「俺も機械は食べられないなー」
それは誰でもそうだろうと誰もが思った瞬間カイルの腹が鳴った。これにはユダも手を止め、ロニに小突かれ照れている少年を見る。
「お前ホンット分かりやすいな」
「あはは……つい」
「もう、カイルったら」
リアラが笑い、続いてロニも笑い、ユダは呆れる。霧の中の和やかと呼べる空気の中でエミリオは訊いた。
「どうだ、風車の調子は」
「……問題無いな、よくメンテナンスがされている」
風車を動かしてから制御盤のカバーをしっかり閉め答えると、すぐにエミリオは皆に支持を出す。
「地下の調べが済み時代食事にするか、頃合いだろう」
「ホント!? やったぁ!」
「ええ、楽しみね」
一番喜ぶのは当然カイルであり、その次がリアラ。ロニは無言で自分の荷物を持ち直す事で感情を表現している、ある意味分かりやすい。
それを横目で見ていたユダと不意に目が合ったエミリオが小さく笑うと露骨に顔を背けられ、それを笑いながらジョブスは言った。
「そんじゃ、こんな見晴らしの悪い所に何時までも突っ立ってないで行きましょうか」
「中も似たようなものだがな」
「それは言いっこ無しですよ総帥」