落ちる少年の身体、すぐに真下に移動した彼はそれをしっかり受け止めた。その際の衝撃で倒れる事は無く、数秒の間の後に2人は安堵の息を吐く。
「まったく……だから言ったんだ」
「ご、ごめん……」
ゆっくり降ろされたカイルは彼を見た。
「次は気をつけろ」
「……う、うん、ありがとう」
忠告と共に一瞬だけ彼は微笑を浮かべた。それは非常に優しいモノで、何故かカイルは戸惑いを見せている。
「おいカイルっ、大丈夫かっ」
梯子を降りた青年の声で我に帰ったカイルは大きく頷いた。
「大丈夫、ユダが助けてくれたから」
「そうか……、うん、えっと……ありがとな」
少しバツが悪そうに礼を言う青年に彼は素っ気なく返す。
「べつに……目の前で怪我でもされたら夢見が悪いからな」
「そうかよ……俺ァ、ロニ・デュナミスって言うんだ」
青年――ロニが名乗ると彼は訝しげな表情を見せた。それかま何故かはロニには分かる。
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bkm
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