足音は遠くはならないが近くもならない。愚痴の雰囲気からやる気が無いのか部屋を確認している気配も無い。
今の内にと判断したらしい彼は奥を指差し、その判断に2人が頷く。そして3人は足音を殺し進み、突き当たりにある鉄の床扉を彼が開けた。そこには暗闇とかろうじて始めの部分が見える鉄梯子がある。
「僕が先に行く、……足を滑らせて落ちてなんか来るなよ」
「コイツならやりかねねェな……」
「大丈夫だよ……っ」
「ハァ……」
溜息を1つ吐いた後に彼は静かに梯子を降りて行った。その後をカイル、次に続く青年が扉を閉める。
梯子はそれほど長くはなく、一番手の彼は足下がしっかりしていると確認してから梯子から離れた。それからすぐに懐から出した危険性が限りなく低い屑レンズが動力原の携帯用ライトを点け、次に来る者を照らす。
「ユダ、だいじょっ……」
「な……」
カイルの足が素振り、手が梯子から離れた。後は当然落下する。
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bkm
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