12

 遂に自己紹介をし握手を求めたが青年はもう溜息すら吐かない。

 彼は差し出された少年――カイル・デュナミスの手を見ていた。


「……この手は」

「握手」

「…………」


 応える事も拒否する事もしない無表情の沈黙。

 それを破ったのは3人の中の誰かではなく、此処には居ない誰かの足音だった。音は小さいが、少しずつそれは大きくなる。


「やべ……コッチに来る……!?」

「ど、どうしよう……!」


 声を潜め慌てる2人に彼は告げる。


「奥に地下水路への梯子がある、そこを進めば外に出られるかもしれん」

「地下水路? ……ああそうか、ダリルシェイドから遠くないしな此処……」

「く、来るよ2人共っ」

「焦るな、隣の部屋にお前達の武器が置いてある……さっさと回収して行くぞ、静かにな」


 言われた通りに2人は閉じ込められた部屋の隣のドアを開けた。元々鍵は無く、そもそも大事な物を置かない部屋なのか埃が溜まっている。


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bkm

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